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NEWS ― 2026-11-02

米ビットコインETF、10月は5億1,500万ドルの純流出で終了――イーサETFは過去最大16億1,000万ドル流出

米ビットコインETF、10月は5億1,500万ドルの純流出で終了――イーサETFは過去最大16億1,000万ドル流出

米ビットコイン現物ETFは、バイナンスの大型ハッキング後初の本格的な取引セッションとなった金曜日に約6億4,300万ドルの純流出を記録し、10月を約5億1,500万ドルの純流出で終えました。イーサリアムETFは10月に過去最大の約16億1,000万ドルを失い、ソラナETFも週間で約7,200万ドルの流出となりました。報道が挙げる背景は、①ハッキングを受けた機関投資家のリスク回避、②4日間の流入を1日で消す規模の売り、③保管の集中への懸念です。ただし流出はETF純資産の1%未満で、「降参ではなくリスク調整」との見方も報じられており、価格の原因として断定はできません。

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金曜日に何が起きたか――643億円規模ではなく「6億4,300万ドル」の流出

米国に上場するビットコイン現物ETFは、2026年10月30日(金曜日)に約6億4,300万ドルの純流出を記録しました。DecryptのETFトラッカーでは6億4,320万ドル、SoSoValueの集計を引用する報道では6億4,330万ドルと、媒体によって末尾の数字にわずかな違いがありますが、規模感は一致しています。金曜日は、バイナンスで約63億~64億ドル規模と報じられるハッキングが発覚した木曜日の米国市場引け後、初めての本格的な取引セッションでした。木曜日のフロー自体は1,720万ドルの純流入でしたが、これはハッキングが市場に織り込まれる前の注文が中心だったとみられています。つまり金曜日こそ、ETF投資家がこの事件に対して最初に本格的に反応できた日だった、というのが各媒体に共通する見方です。

銘柄別では、ブラックロックのIBITが約2億3,370万ドル、フィデリティのFBTCが約2億1,000万ドルと、この2本だけで流出全体の約3分の2を占めました。アーク21シェアーズのARKBが約1億2,955万ドル、グレイスケールのGBTCが約5,332万ドル、ビットワイズのBITBが約2,572万ドルと続き、5本のファンドで純流出が報告されています。出来高も約63億5,000万ドルと木曜日の約3倍に膨らみ、IBITだけで約52億ドルを占めたと報じられています。売りが一部のファンドに偏ったのではなく、主要ファンドに広く及んだうえ、取引そのものも活発だった――これが金曜日のフローが「ただの1日のブレ」と片付けにくい理由の一つです。

4日間の流入が1日で消えた――週次・月次の姿

金曜日の流出を大きく見せているのは、その直前まで流入が続いていたことです。10月26日から29日にかけて、ビットコインETFには合計で約4億4,070万ドルの純流入がありました。内訳は26日が約1億1,030万ドル、27日が約1億7,600万ドル、28日が約1億3,730万ドル、29日が約1,707万ドルです。金曜日の6億4,333万ドルの流出は、この4日間の流入合計を約2億260万ドル上回り、週間では約2億260万ドルの純流出に転じました。月次では、ビットコインETFは10月を約5億1,500万~5億1,600万ドルの純流出で終え、6月以来のマイナス月となりました。ただし2026年1月から10月までの累計では約3億6,100万ドルの純流入が残っており、10月単月が赤字になったからといって、年間の資金の流れ全体が逆転したわけではありません。2024年1月の上場以来の累計純流入は約574億ドル、純資産総額は約1,032億ドルと報じられており、金曜日の流出は純資産の1%にも満たない規模だという指摘もあります。

イーサリアム現物ETFの動きは、ビットコイン以上に厳しいものでした。金曜日は約1億5,570万~1億5,600万ドルの純流出で、5営業日連続の流出となり、5日間の合計は約4億3,100万ドルに達しました。10月全体では約16億1,000万ドルの純流出となり、従来の月次記録だった2025年11月の約14億2,000万ドルを上回って過去最大を更新しました。さらに10月の流出で2026年の年初からの純流入がすべて相殺され、年間では約4,500万ドルの純流出に転じたと報じられています。ソラナETFも金曜日に約1,074万~1,080万ドルの純流出で5日連続の流出、週間では約7,200万ドルの流出となり、10月は純流入の日がわずか2日しかなかったとされています。ビットコイン、イーサリアム、ソラナの3資産のETFが同時に資金を失った点が、今回の局面の特徴です。

報道各社の数字を突き合わせる――どこが一致し、どこが違うか

同じ出来事でも、媒体によって数字の丸め方や集計元が異なります。読者が混乱しやすいポイントを整理すると、次のようになります。

項目CointelegraphDecryptその他(SoSoValue等を引用)
金曜日のBTC ETF純流出約6億4,300万ドル6億4,320万ドル6億4,330万ドル(SoSoValue)
10月のBTC ETF純流出約5億1,500万ドル約5億1,600万ドル約5億1,590万ドル(Farside集計)
金曜日のETH ETF純流出約1億5,600万ドル1億5,570万ドル1億5,585万ドル(SoSoValue)
ハッキングの規模約63億ドル約64億ドル約63億ドル(TradingView/The Block)
IBITの金曜日の流出約2億3,400万ドル―2億3,370万ドル(SoSoValue)

これらは矛盾ではなく、集計のタイミングと四捨五入の違いによるものとみられます。重要なのは、どの媒体も「金曜日の流出が10月最大級」「4日間の流入を1日で消した」「ETHの月次流出が過去最大」という3点で一致していることです。逆に、ハッキングの被害額が63億ドルと64億ドルで分かれている点は、被害の確定額がまだ流動的であることを示しています。バイナンスは損失を自社資金と緊急準備金で全額補填すると表明し、約63億4,000万ドルを確保したとしていますが、凍結された資金の額も、テザーとサークルによる凍結が当初は約18億ドルと報じられ、その後23億ドル超と報じられるなど、時間とともに更新されています。数字を1本に絞って断定するのではなく、幅を持って読むのが安全です。

なぜETFの資金流出が注目されるのか――仕組みの噛み砕き解説

現物ETFとは、ビットコインやイーサリアムそのものを裏付け資産として保有し、株式市場で普通の株式と同じように売買できるファンドです。投資家は取引所口座を開かなくても、証券口座から暗号資産への値動きに連動する商品を買えます。ファンドは、投資家から資金が流入すれば裏付けの現物を買い、流出すれば裏付けの現物を売って資金を返す仕組みです。そのため、ETFの純流出は「現物の売り圧力につながりやすい」と一般に解釈されます。ただし、これはあくまで一般論です。流出の規模が市場全体の出来高に対して小さければ価格への影響は限定的ですし、流出した資金が別の経路で現物市場に戻ってくることもあります。逆に、流入が再開すれば支えになることもあります。1日のフローだけで価格の方向を決めつけることはできません。

ETFのフローが注目されるもう一つの理由は、資金の出し手です。ETFの資金の多くは機関投資家やファイナンシャル・アドバイザーを通じたものとされ、発行体が毎日フローを公表するため、機関投資家のセンチメントを測る指標として使われています。今回の金曜日のように、ハッキングという暗号資産市場固有の事件の直後にETFから資金が出た場合、「機関投資家がリスクを減らした」と読む向きと、「単なる1日のリスク調整で、機関投資家の信頼が崩れたわけではない」と読む向きに分かれます。実際、今回の流出は純資産の1%未満であり、「降参(キャピチュレーション)ではなく、リスクを落とす動きにすぎない」との見方も報じられています。ETF保有者はバイナンスに直接資産を預けているわけではなく、裏付け資産は規制されたカストディアンが保有している点も、冷静に見るべき材料として指摘されています。

一方で、保管の集中そのものへの懸念も浮上しています。ハードウェアウォレット大手OneKeyの創業者イーシ氏は、金曜日にXで、IBITがビットコインの保管をコインベースに大きく依存していることを挙げ、同様のセキュリティ脅威にさらされ得ると警告しました。これに対しては、ETFの保管は規制下のカストディ体制であり、取引所のホットウォレットとは構造が違うという反論も成り立ちます。今回の議論は、ハッキング事件そのものよりも、「機関投資家向け商品の保管がどこまで分散されているべきか」という、もう一段深い論点に広がっている点が注目されます。

ハッキング後の時系列――木曜日の夕方から週末まで

時系列を整理すると、市場の反応の順番がよく分かります。木曜日10月29日の米国東部時間午後4時5分ごろ、バイナンスからの資金流出が始まったと報じられています。米国市場が閉じた後の時間帯だったため、木曜日のETFフローには事件がほとんど反映されず、1,720万ドルの純流入で終わりました。金曜日にはビットコインが一時約7万6,400ドルまで約4%下落し、レバレッジ取引の強制清算が13億ドル超に達したと報じられています。ただし下落率は、2018年にバイナンスが攻撃を受けた際の約11%の下落と比べると小さいことも強調されています。土曜日にはビットコインは約7万7,520ドル前後で落ち着き、週間では約3.3%の下落、イーサリアムは約2,251ドルで週間約3.9%の下落、ソラナは約96ドルで週間約4.5%の下落、暗号資産全体の時価総額は約2兆7,000億ドル前後と報じられています。

週末から週明けにかけては、取引所側の資金の動きが主役になりました。バイナンスは出金を段階的に再開し、再開直後の純流出は58億ドルに達したと報じられ、その後70億ドルを超えたとも報じられています。一方でOKXには1日で4億4,500万ドルの純流入があったとされ、取引所間で資金が移動した可能性が指摘されています。バイナンス側は、顧客資産が約1,710億ドルあり、流出はその一部にとどまること、流出のペースは鈍化していることを説明しています。FBIはこのハッキングを北朝鮮の犯行と断定し、TRMラボとチェイナリシスも北朝鮮のトレーダートレイター集団との関連を指摘しています。事件の捜査と資金凍結の進展は、今後もETFフローと並ぶ確認材料です。

このデスクの観測値――スナップショットが示す週明けの姿

このデスクのスナップショット(2026年11月2日13時19分・日本時間取得)では、ビットコインは78,677ドルで前日比プラス1.22%、イーサリアムは2,308.3ドルでプラス1.91%、ソラナは95.54ドルでプラス0.19%、ドージコインは0.0761ドルでプラス0.80%、HYPEは88.59ドルでプラス0.99%でした。Hyperliquidのビットコイン建玉は約31億6,000万ドル、恐怖・貪欲指数は37で「Fear(恐怖)」の領域でした。金曜日の急落と週末の落ち着きを経て、週明けの日本時間昼には価格がやや持ち直している一方、センチメント指標はなお恐怖圏にある――この組み合わせは、市場が「落ち着きを取り戻しつつも、悪材料には敏感な状態」にあることを示唆します。ただし、これはあくまで1時点の観測値であり、価格の方向を示すものではありません。最新の価格はビットコインの銘柄ページや指標ページで自動更新されています。

なお、デリバティブ市場では、ビットコインの資金調達率(ファンディングレート)がスナップショット時点で年率換算でプラス圏にあり、建玉も高水準を維持していました。ETFからの資金流出とデリバティブの建玉は別の資金の流れですが、現物ETFの売りと先物の建玉が同時に高水準にある局面では、価格が上下どちらにも大きく動きやすいと一般に言われます。逆に、建玉が整理されて資金調達率が落ち着けば、値動きが穏やかになることもあります。ETFフローだけを見て相場を判断するのではなく、建玉や資金調達率、センチメント指標をあわせて見ることが、このデスクの基本的な見方です。

今後の確認ポイント――次に見るべき4つの材料

第一に、11月最初の週のETFフローです。金曜日の流出が1日だけのリスク調整だったのか、それとも連続する流出の始まりなのかは、次の数営業日のフローで見えてきます。特に、IBITやFBTCといった大型ファンドに流入が戻るかどうかが焦点です。第二に、バイナンスの出金再開の進捗と、凍結資金の回収状況です。出金の段階が進み、流出ペースが鈍化すれば、取引所側の不安は和らぎやすいとみられます。逆に、新たな出金制限や追加の被害が報じられれば、再びリスク回避が強まる可能性があります。第三に、保管とセキュリティをめぐる議論の行方です。ETFのカストディ体制や、オフショア取引所への米国の監督強化を求める声(CFTC委員長の発言も報じられています)が、具体的な規制の動きにつながるかどうかが注目されます。第四に、マクロと政治の材料です。FRBは政策金利を3.75~4.00%に据え置きましたが、2名の当局者が利上げに票を投じ、市場では12月利上げの確率が70%超と織り込まれていたと報じられています。さらに米国の中間選挙を控え、テクノロジー株の決算とあわせて市場のボラティリティが高まりやすい週とされています。暗号資産固有の材料とマクロの材料が重なる週であり、ETFフローの解釈もその文脈の中で行う必要があります。

最後に、予測市場でのセンチメントも参考材料として挙げておきます。Decrypt系の予測市場Myriadでは、イーサリアムが3,000ドルに到達する前に1,500ドルまで下落する確率が51.3%と、1週間前の61.3%の楽観から反転したと報じられています。ソラナについても、160ドルに到達する前に40ドルまで下落する確率が53.7%に上昇しました。これらは市場参加者の予想を集計したものにすぎず、価格の予測ではありませんが、ETFフローと同様に「市場参加者がどちらに傾いているか」を示す材料として併せて見る価値があります。

関連ページ:ビットコイン(BTC)の銘柄ページ、イーサリアム(ETH)の銘柄ページ、ソラナ(SOL)の銘柄ページ、市場指標(恐怖・貪欲指数など)、前回の関連記事バイナンス出金再開で58億ドルの純流出もあわせてご覧ください。

よくある質問

Q. BTCが下落した原因は、ETFの資金流出ですか?

報道が挙げる要因の一つが、金曜日のビットコインETFからの約6億4,300万ドルの純流出です。ただし、バイナンスのハッキング、取引所からの出金、レバレッジ清算、マクロ環境など複数の材料が重なっており、ETF流出だけが原因と断定することはできません。ETFフローは資金の動きを示す指標であり、価格の動きそのものを説明しきるものではありません。

Q. ETFの資金流出は、なぜBTC価格に影響すると言われるのですか?

現物ETFは、投資家から資金が流出すると裏付けの現物を売って資金を返す仕組みのため、売り圧力につながりやすいと一般に言われます。ただし、流出の規模が市場全体に対して小さければ影響は限定的ですし、流入が戻れば逆に支えになります。今回の流出は純資産の1%未満で、「降参ではなくリスク調整」との見方も報じられています。

Q. 10月のビットコインETFとイーサリアムETFでは、どちらが大きく資金を失いましたか?

月次ではイーサリアムETFの方が大きく、約16億1,000万ドルの純流出で過去最大を更新しました。ビットコインETFは約5億1,500万~5億1,600万ドルの純流出で、6月以来のマイナス月でした。ただしビットコインETFは2026年1~10月の累計では約3億6,100万ドルの純流入が残っているのに対し、イーサリアムETFは年間でも約4,500万ドルの純流出に転じています。

Q. ETF投資家は、バイナンスのハッキングに直接さらされていたのですか?

直接のさらされ方は限定的と報じられています。ETFの裏付け資産は規制されたカストディアンが保有しており、ETF保有者がバイナンスに資産を預けているわけではありません。ただし、保管がコインベースなどに集中していることへの懸念は、ハッキングをきっかけに議論になっており、今後の規制や保管体制の議論につながる可能性があります。

Q. 今後、何を確認すればよいですか?

次の数営業日のETFフロー(流入が戻るか、流出が続くか)、バイナンスの出金再開の進捗と凍結資金の回収、保管・規制をめぐる議論、そしてFRBの利上げ観測や米国中間選挙といったマクロ材料です。1日のフローだけで方向を決めつけず、複数の指標をあわせて確認することが大切です。

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出典

本記事は上記の報道をもとに、このデスクが要約・整理したものです。価格の予測や売買の推奨は行いません。数値の前提は各出典の報道時点のものです。

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